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■朝日新聞社・LINEヤフー「ニュース健診2024」

 ネットやSNSを使えば、手軽に調べ物やニュースを知ることができるようになりました。一方で、偽情報や犯罪に巻き込まれる危険性も指摘されます。ITジャーナリストで成蹊大客員教授の高橋暁子さんに、注意点や対策を聞きました。

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ITジャーナリストで成蹊大客員教授の高橋暁子さん

 ――ネットやSNS上で気軽に情報が得られるようになりました。

 費やした時間によって得られる効果「タイムパフォーマンス」を重視し、SNSに流れる情報だけで情報を収集する人は少なくありません。ただ、その情報が全て正しいわけではないということを理解することが大切です。

 動画アプリ「TikTok」やユーチューブにも、デマが混じった動画があります。X(旧ツイッター)も、正しい情報と偽の情報が入り乱れています。うわさ話やデマが発端となり、有名人らに対する誹謗(ひぼう)中傷も起きています。

 ――災害時にも、SNSのデマが問題になります。

 今年発生した能登地震では、救助を求めるうその投稿などが問題になりました。

 Xでは一つの投稿に対して多くの反応があり、トレンドになっているものが信頼できる情報と思われがちです。しかし、実際は情報の質の高さや精度とは関係ありません。閲覧数による収益目当てで拡散されていることもあります。

 虚偽の投稿で、本来救助が必要な人の声が埋もれてしまえば、命に関わります。投稿者が本当に被災しているのかや情報が真実なのかが分かるまで、拡散などはしないことが大事です。

 ――情報を見極めるコツはありますか。

 大事なのは「だいふく」です。

 「だ」は「誰が発信したものか」、「い」は「情報はいつのものか」、「ふく」は「複数で確認」です。

 SNSやネットで流れる情報は一次情報を調べ、官庁のデータや報道の引用といった確実なものかを確かめてください。古い情報は誤っていたり、変わっていたりする可能性があり、最新の情報かを知ることも重要です。

 専門家や官公庁、報道機関など複数の情報源が同じ情報を出していることが確認できれば、信頼性が高まります。

 学生には、報道機関のニュースサイトをすすめています。記者が取材をして事実を確認した情報がまとめられているからです。保護者が記事を読んで気になったニュースを、子どもと話題にするのもいいかもしれません。

 保護者が有害サイトを遮断する「フィルタリング」や、SNSの利用時間制限などが出来る「ペアレンタルコントロール機能」を使うこともおすすめです。

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情報を見極めるために出来ること

 ――若い世代の情報を見極める力はどうでしょうか。

 いまの若者たちはSNSなどを小さいときから使うネイティブ世代です。でも、偽情報にだまされてしまう人は意外といます。

 軽い気持ちでSNSで「高収入バイト」を調べて闇バイトに巻き込まれたり、「もうかる」と言われて数万円をだまし取られたり。いずれも同様の犯罪が起きていないかを知っていれば防げる事例です。

 ――ネットでの検索で気をつけることは。

 ネットで検索すると、公式サイトが上位にくると思われがちです。しかし、検索エンジンのアルゴリズムを悪用した偽サイトが上位に表示されるケースもあります。

 広告にも注意が必要です。著名人や有名な投資家の写真を使った偽広告から、詐欺の被害に遭う事例も相次いでいます。

 サイトの場合は、URLや日本語がおかしいなど違いがあります。広告は有名人らが偽物だと公表していることもあるので、「うまいもうけ話」に飛びつかず、調べてみてください。

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その情報は正しい?

 ――生成AI(人工知能)による文章要約機能も出てきています。

 生成AIは確かに便利です。ただ、出てきた回答をうのみにしてはいけません。AIが要約を作る際に必ずしも事実が裏付けされたデータから引用しているとは限りません。

 いまは官庁や企業の調査結果をネットで簡単に手に入れられる時代です。AIの回答はあくまでも参考情報と考え、しっかりと一次情報を確認するようにして欲しいです。(聞き手・山田暢史)

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クイズを楽しみながら、ニュースや情報の「見分ける力」「読みとく力」「発信する力」を身につけましょう。すべてのクイズに解答すると診断結果が表示されます。「ニュース健診2024」は朝日新聞とYahoo!ニュースの合同企画です(Yahoo!ニュース内のページに移ります)

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