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みりんとみりん粕を使ったとうふドーナツを開発した生徒たち=2024年10月2日午後1時54分、愛知県立碧南高校、松永佳伸撮影
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 愛知県立碧南高校(碧南市)の生徒たちが、幻の発酵食品と呼ばれる「みりん粕(かす)」を使ったとうふドーナツ「うめぇまる」を開発した。みりん粕独特のやさしい甘みとしっとりした口当たりに仕上がった。20日には生徒たちが地元のイベントで販売し、直接おいしさを伝える。

 手がけたのは、商品開発を実践する総合ビジネス科の3年生9人。「自分たちにしか作れないものは何か」と考える中、250年以上の歴史がある地元の老舗みりんメーカー「九重味淋(みりん)」の工場を見学した際、みりんの製造過程で出る副産物「みりん粕」の存在を知った。低カロリーで体にもやさしい豆腐ドーナツをつくることにした。

 小沼小町さん(3年)は「みりんが和食以外にも使えることや、幻の発酵食品と言われるみりん粕の存在をたくさんの人に知ってもらいたかった。定番のおやつや土産物になれば」と語る。

 みりん粕は、みりんの搾りかすで酒粕に似ている。真っ白でぼろぼろとした形状が、満開になった梅の花のようにみえることから「こぼれ梅」と呼ばれる。

 甘みが強く香りも豊かで、そのまま食べてもいいが、菓子づくりや料理のほか、せっけんや入浴剤にも使われる。できる量が限られていて、スーパーマーケットなどに出回ることはないという。

 豆腐ドーナツを製造している高浜市の豆腐製造会社「おとうふ工房いしかわ」に協力を要請。本みりんとみりん粕のペーストを生地に混ぜると、焼き色が付きやすくなる課題に直面。焦げたように見えない焼き色と、みりんの風味や存在感を感じる配合にするのに苦労したという。

 大柄根由奈さん(同)は「みりんの配合が大変だった。しっとりした口触りの良さと独特の醸造香、豆腐とみりんのやさしい甘さを楽しんでほしい」と話す。

 商品名の「うめぇまる」は、食べた時に思わず出てしまう「うめぇ」という言葉に、みりん粕の別名「こぼれ梅」を掛け合わせた。パッケージも生徒たちがデザインした。

 価格は1個150円、3個入り400円。九重味淋のオンラインショップや直売店で販売しているほか、20日午前9時半から、碧南市浜寺町の九重味淋本社で開かれるイベント「秋の蔵開き」で生徒たちが直接販売する。商品がなくなり次第終了。(松永佳伸)

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