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最高裁判所=東京都千代田区

 大阪地検特捜部に業務上横領罪で逮捕・起訴され、2021年に無罪が確定した不動産会社の元社長が国に7億7千万円の賠償を求めた訴訟をめぐり、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)は、特捜部検事による約18時間分の取り調べ映像を証拠として提出するよう国に命じる決定を出した。提出させる範囲を約50分とした大阪高裁決定を破棄した。

 16日付で、裁判官4人全員一致の結論。取り調べの録音・録画の提出を最高裁が国に命じたのは初めて。

 検察の取り調べをめぐっては近年、対象者への暴言などの違法性を訴える訴訟が相次ぐ。決定は、密室で行われる取り調べの映像が民事裁判で検証される可能性を改めて示したもので、検察当局への警鐘になる。

「検事の威圧でうその供述」

 大阪市の不動産会社「プレサンスコーポレーション」元社長の山岸忍さん(61)は、学校法人からの土地売却に絡み21億円を横領した事件の共犯とされ、21年に無罪になった。

 国を訴えた大阪地裁の訴訟で、田渕大輔検事(52)=現東京高検=が元部下への取り調べで「検察なめんな」などと威圧し「(山岸さんは)共犯だ」とうその供述をさせたと主張。違法な取り調べを証明するため、映像の提出を地裁に求めていた。

 刑事訴訟法には「目的外使用…

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