第36回浜田青陵賞(大阪府岸和田市、朝日新聞社主催)は、旧石器時代の人類文化の成立に関する研究をしている東京大学大学院の森先一貴准教授(考古学)に贈られた。9月に同市であった記念シンポジウム「日本人はどこから来たか」では、考古学と人類学の識者が、大陸から日本列島へと渡った人類について、石器や人骨の最前線の研究をもとに意見を交わした。(筒井次郎、編集委員・中村俊介)
東大院准教授・森先一貴さん 受賞者記念講演
旧石器時代は、おおよそ260万年前から1万数千年前までとされる。始まりはもう少し古くなる可能性もある。
旧石器時代は、かつて「遅れた文化」というイメージがあったが、最近は大きく変わった。
打製石器(打ち割って作る石器)にも高い技術が必要なだけでなく、縄文時代に使用されるとされた磨製石器(磨いて作る石器)も出現する。定住的な生活をする場合もあり、装飾品や土製品も持つことがある。環境に応じて戦略的に狩猟採集生活を送っていたことが分かってきた。
現生人類(ホモ・サピエンス)は30万~20万年前のアフリカを起源とする。確かなところでは、5万年前以降にユーラシア東部に進出。日本列島に現れた確実な証拠は、3万9千年前以降だ。
では、いつ、どこから最初に日本列島に移住してきたのか。
この記事の続きには、①森先さんによる、石器の分析を元にした人類の移住時期とルートについての考察 ②2人の専門家による沖縄で見つかった人骨についての研究 ③移住時期や沖縄からのルートに関する議論――といった内容が書かれています。
到達ルートは従来大きく3通…