Smiley face
写真・図版
来年の春闘の賃上げ目標について発表する連合の芳野友子会長(左)=2024年10月18日、東京都千代田区、北川慧一撮影

 労働組合の中央組織・連合は18日、来春闘に向けた統一要求の賃上げ目標を「5%以上」と今春闘から据え置き、中小企業向けは「6%以上」に引き上げる方針を正式に発表した。中小の底上げに向けて、大手を上回る賃上げをめざすが、実現のハードルは高そうだ。

 連合の芳野友子会長はこの日の記者会見で「(今春闘は)33年ぶりの高水準の賃上げになったとは言え、実質賃金はなかなか上がってこない。来年以降、5%以上を継続して、賃金も物価も上がる。経済も回っていくという好循環を目指したい」と述べた。

 賃上げ目標の内訳は、年齢や勤続年数に応じた定期昇給分の2%確保を前提に、賃金体系を引き上げるベースアップ目標を3%以上とした。

 来春闘の基本構想では「デフレに終止符を打ち、動き始めた賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せ、新たなステージをわが国に定着させる」と強調した。

 一方、中小企業については、大手との格差是正分(1%以上)を上乗せした「6%以上」(1万8千円以上)を目標に掲げた。中小向けに全体より高い目標を設定するのは、2014年以来11年ぶり。連合幹部は「中小だけ取り残しては賃上げのすそ野が広がらない」と指摘。その上で、「中小の賃上げ率が全体を上回るところまで持っていくというメッセージだ」と述べた。

 しかし、大手と中小の賃金格差は広がっており、目標を引き上げても中小の賃上げが進むかは見通せない。賃上げの原資を確保するために、労務費などの価格転嫁が必要になるからだ。

■価格転嫁できずに苦しむ中小…

共有