2018年7月に広島県を中心に甚大な被害をもたらした西日本豪雨で、被災した子どもたちに気管支ぜんそくが増えていたと、広島大学の研究グループが100万人超の診療報酬明細書(レセプト)のデータを分析し、米医学誌に発表した。自然災害による子どものぜんそく悪化は臨床現場では指摘されていたが、大規模の疫学調査で実証したという。「自然災害が年々増えており、災害発生時に子どものぜんそくの発症増加や悪化を念頭においた診療や医療体制の構築を考える必要がある」としている。
自然災害が起きると、大気汚染や生活環境の変化、心身のストレスにさらされる。これらは気管支ぜんそくのリスクとされ、特に子どもで影響が大きい可能性が指摘されてきたが、大規模な研究はこれまで乏しかった。
グループは西日本豪雨からの1年間分、広島、岡山、愛媛の3県のレセプトデータを分析。19歳以下の107万3170人について、ぜんそくの吸入治療薬の処方数を調べた。
その結果、自治体から被災者…