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問われる民意2024 飯島裕子さん

 「誰ひとり取り残さない」。こんな言葉で、政治家が日本の将来を語ることがよくあります。ジャーナリストとして困難を抱える人々を長く取材してきた飯島裕子さんは、「誰ひとり」から取りこぼされる存在を指摘しています。

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 日本の将来を語る政治家がよく発するのが、「誰ひとり取り残さない」という言葉です。石破茂首相も所信表明で「誰も取り残さない社会の実現」を掲げました。この言葉を聞くたびに、あまりの軽さに驚くと同時に憤りを感じます。

 「誰ひとり」に入らず、取りこぼされている人はたくさんいます。私が心配しているのは、働かざるを得ない高齢者です。年金だけでは暮らせないため、工事現場や清掃などの肉体労働を体に鞭(むち)打って続けなければならない。高齢者の労災による死傷者は過去最多を更新しているにもかかわらず、石破首相は「意欲ある高齢者」の活躍を推進し、さらなる就労を促進すると表明しています。現実が全く見えていないようです。

 これまで「ヤングケアラー」…

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