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【対局中継】芝野虎丸名人ー一力遼棋聖【第49期囲碁名人戦第5局2日目】

 3連覇を目指す「虎」が踏みとどまるか、世界一の「力」が決めるか――。芝野虎丸名人(24)に一力遼棋聖(27)が挑戦している第49期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局が23日、神奈川県箱根町のホテル花月園で前日から打ち継がれ、対局2日目が始まった。

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対局再開時、険しい表情の芝野虎丸名人。白がペースを握ったと控室は分析している=2024年10月23日午後1時1分、神奈川県箱根町、北野新太撮影

 初の名人位奪取を狙う挑戦者が3勝1敗とし、残り1勝として迎えた第5局。後のない名人にとっては、もう勝つしかない背水の一局でもある。1日目は両者とも仕掛けることなく、戦いがないまま囲い合ってヨセ勝負となりそうな展開に。93手目を黒番の一力挑戦者が封じた。1日目の消費時間は名人4時間1分、挑戦者3時間30分。持ち時間は各8時間。23日午前9時に封じ手を開封して再開され、同日夜までに終局する見込みだ。

 立会人は山下敬吾九段、新聞解説は孫喆七段、記録係は豊田裕仁二段と張心澄初段、YouTube解説は鈴木伸二八段。朝日新聞デジタルでは七番勝負の模様をタイムラインで徹底詳報する。

  • 【1日目詳報】重厚な展開、一力挑戦者が封じ手 囲碁名人戦第5局

総括

名人の中央感覚

 大石殺しの腕力においては棋界屈指の名人が、刀を抜かずヨセ合いをめざした。挑戦者が中央に大模様を張っても意に介さない。見た目ほどまとまらないと見切ったのだ。大石殺しとはまた別の名人の強みを存分に見せつけた。

 地味ながらハイライトは図の白1、3だろう。盤上を俯瞰(ふかん)すれば、中央の制空権は黒が握り、一帯は黒っぽい模様になっている。隅と辺の陣地は白の名人のほうが多く、挑戦者はいかに中央の模様を大きくまとめるかが焦点になっていた。ところが名人の石は中央に向かわない。

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 新聞解説の孫喆(そん・まこと)七段によると、中央のヨセはもっとも見極めがたく、感覚に拠(よ)るところが大きい。名人はその感覚が優れているという。「中央はそうまとまらない」と見切り、陣地の多寡(たか)を確実に数値化できる辺のヨセを優先したのだ。

 こうなると、挑戦者いよいよ…

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