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全日本空輸(ANA)の機体(当該機ではありません)=2022年3月28日、羽田空港

 国土交通省は25日、航空機のタイヤ圧が低下していたにもかかわらずタイヤを交換せず出発させたとして、全日本空輸(ANA)を航空法違反で厳重注意したと発表した。厳重注意は行政指導の一つ。同社に対し、11月8日までに再発防止策を報告するよう指示した。

 国交省によると、福島空港で9月7日、大阪行きANA1698便(ボンバルディア式DHC―8―400型機)の右主脚のタイヤの空気が抜け、作業基準に定める規定値を下回っていることを整備担当者が把握。タイヤを交換する必要があったにもかかわらず加圧しただけで出発させた。

 国交省は、福島空港に予備のタイヤがなかったことから「整備担当者が意図的に違反行為をした」とした。

 大阪基地は不適切な整備行為を把握していたにもかかわらず、本社には10月8日まで報告していなかった。ANAは同10日に国交省に報告を行った。

 国交省は、約1カ月間、社内で報告がされなかった点も問題視し、「安全管理システムが十分に機能していない」と指摘した。

 ANAは、航空機メーカーに問い合わせたところ「航空機の設計上、タイヤの空気圧が低い状態でも、ただちに飛行の安全に影響をおよぼすことはない」との見解を確認していると25日に発表。「厳重注意を受けるに至ったことを真摯(しんし)に受け止め、このような事象を引き起こさないよう再発防止を徹底してまいります」とのコメントを出した。(中野浩至、中村建太)

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