Smiley face
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2024年10月18日、米ミシガン州デトロイトの選挙集会で踊る共和党大統領候補のドナルド・トランプ前大統領=AP
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ポール・クルーグマン

 10月1日、私がニューヨーク市立大学の経済認識に関するイベントに参加したときのことだ。大型ハリケーン「ヘリーン」の被災地の一部をバイデン大統領が支援していないと叫んで抗議する人がおり、イベントが一時中断された。その男性の政治的信条はよくわからなかったが(彼はイスラエルについても何か叫んでいた)、それはドナルド・トランプ前大統領が最近語ったうそが急速に広がっていることを示す出来事だった。

 そのうそを聞き逃した人のために説明すると、トランプ氏は、連邦政府(バイデン氏)とノースカロライナ州の民主党知事が「共和党を支持する地域に住む人々を意図的に支援していない」と聞いたと主張し、自然災害を政治的利益に利用しようとしている。この主張には全く根拠がない。大規模な救援と復旧活動が進行中であり、共和党の知事を含む被災した州の複数の知事が、連邦政府の取り組みを称賛している。トランプ氏は、ジョージア州の共和党知事ブライアン・ケンプ氏について「なかなか大統領と電話がつながらず苦労している」とも語った。だが、ケンプ氏本人はこれとは逆に、バイデン氏から「ほかに必要なものがあればすぐに直接電話してほしい」と言われたといい、それに感謝していると話しているのだ。

トランプ氏が作る空想の世界 災害支援でも

 いま、トランプ氏の選挙運動は、でっち上げに大きく依存している。そして明らかに、トランプ氏は新しいネタが必要だと考えているようだ。古いネタの効果が薄れてきたように見えるからだろう。

 災害救助の話に入る前に記し…

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