2025年大阪・関西万博で想定される来場者は、会期中の半年間で約2820万人。これは約6400万人が訪れた1970年万博より少ないが、昨年に大阪府を訪れたインバウンド(訪日外国人客)の979万8千人から3倍近い数字だ。
「(会場の)建設以上に難しい問題ではないか」
10日、万博会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)を臨む大阪府咲洲庁舎で、万博の開催をとり仕切る博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長と、吉村洋文・大阪府知事、横山英幸・大阪市長が会談した。
遅れが指摘される会場建設よりも「喫緊の課題」としてケルケンツェス氏が挙げたのが、夢洲へのアクセスだった。
吉村知事は「しっかり対応して来年の春、万全の状況で万博を迎えたい」と応じた。
開幕したら、夢洲だけでなく、周辺の道路や鉄道もどれだけ混雑するのか――。日本国際博覧会協会(万博協会)が頭を悩ませるのが、混雑の緩和策づくりだ。
混雑は来場者だけでなく、市民の通勤・通学や物流にも不便を強いかねない。万博協会はあの手この手で対策をひねり出し、市民や企業に時差出勤や在宅勤務の協力まで依頼することになった。
愛知万博を参考に
万博協会が参考にしたのは、05年の愛知万博での人の流れだ。
来場者の約7割が午前中に入場し、特に開場直後の午前9時台に全体の2~3割が集中。全体の約3割は会期終盤の1カ月間に来場していた。
万博協会は今回、「開幕券」「前期券」といった来場者が少なそうな時期が対象の割安入場券を設定。入場日時も事前予約制とし、来場者が一気に集中しないようにした。
これらの取り組みで、ピーク時の1日の来場者数は28.5万人から22.7万人に、約2割抑えられるという。
限られたアクセスルート
とはいえ、会場周辺は混雑が発生する見込みという。その理由は、夢洲へのアクセスルートが少なく、来場者が集中するからだ。
夢洲につながる道路は、北東…