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 1994年8月28日、第1回の気象予報士試験があり、東京や大阪など全国6都市で、2700人余りが新しい国家資格に挑んだ。

 お天気キャスターの森田正光(74)もその1人。気象予報士について、「複雑な気象情報を一般の方向けに通訳する職業だ」と語る。

 名古屋市で生まれ、小学校3年生の時に死者、行方不明者が5千人を超えた伊勢湾台風を経験。高校時代の教師に勧められ、気象庁の外郭団体だった日本気象協会東海本部で18歳から働き始めた。

写真・図版
お天気キャスターの森田正光さん=嶋田達也撮影

 当時、一般向けに天気予報を発表できるのは、政府の一機関である気象庁だけだった。テレビや新聞が伝える予報は全て同じ。民間団体の日本気象協会は気象分野の調査や分析、情報提供のほか、気象庁発表の天気予報の解説をほぼ独占的に請け負い、森田は「気象庁が『晴れ』と言えば、『雨』とは言えなかった」と振り返る。

「難関試験」として人気に

 1990年代、規制緩和の流…

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