日本に住む外国人が過去最多を更新する中、特に外国人が多い東海地方では、子どもたちに日本語を教えるといった地道な活動が続く。日本社会の一員として共に暮らし、能力をいかして活躍できるよう日本語教育に力を入れる高校の授業をのぞいた。
「マチュピチュはスカイ君の思い出の場所です」。7月、愛知県立衣台高校(豊田市)の「日本語」の授業で、ブラジルにルーツを持つ西谷勝男君が、ペルーがルーツのスカイ君から聞き出したことを日本語で発表した。世界遺産のマチュピチュ遺跡に訪れたこと、ペルーは標高が高く寒いこと――。西谷君がゆっくりと日本語で説明すると、教室からは拍手が起こった。
来日して3年の西谷君の日本語は片言で、母語はポルトガル語。共通点が多いスペイン語が母語のスカイ君とお互いの言葉を交えて話し、メモはポルトガル語で作成。タブレット端末で言葉を一つずつ日本語に翻訳し、発表を作り上げた。
この日、日本語で発表したのは、外国にルーツを持つ1年生17人。それぞれの母語は様々だが、お互い工夫しながら日本語能力を高め合えるような授業になっている。
同校は「日本語が分からず、授業についていけない」生徒を優先的に受け入れている。自動車産業などで多くの外国人が働く愛知県は、日本語指導が必要な子どもが全国最多の1万1924人(2023年5月)に上る。こうした子どもに日本語を学ぶ機会を提供しようと、愛知県教育委員会は複数の県立高に優先枠を設定している。
学校独自の教科「日本語」
衣台では生徒約450人のう…