夜まで公園で一人遊んでいる、小学校の授業がある時間に外を出歩いている、食べ物をねだる――。近所にちょっと心配な子がいる時、どうしていますか。東京都大田区で「れんげの会子ども食堂」を開く内田千香子さんに話を聞きました。
◇
東京都大田区で、主にひとり親家庭向けに食堂や無料塾を開いています。
始めたきっかけは6年前の出来事です。近所の餅つきのイベントで、もの欲しげな顔でつきたてのお餅を見ている家族がいました。貧しく育ったゆえの勘で、生活に余裕がなさそうなのがわかりました。その子どもはお餅を食べたそうでしたが、その場にいた人に意地悪な言葉をかけられすぐもらえなかったのを見て、とても残念に思いました。「こんな時子ども食堂をやっていたら、『うちにおいでよ』と言ってあげられるのに」と悔しくて。翌日には知り合いに声をかけ、2カ月後に始めました。
私はその子どもの目を見た時に自分の子ども時代を思い出しました。貧しくて給食が主食でしたが、午前で授業が終わる土曜日は給食がなく、家には誰もいない。それで友達の家におやつを食べに行くのが習慣になっていました。しょっちゅう行くから、その家のお母さんにはすごく嫌われているのはわかっていました。子どもはそういうことに敏感ですね。学校の先生も、うちに問題があると気づいていたと思いますが、親身になってはくれませんでした。これが活動の原体験です。
今は子どもの貧困や虐待の問題が昔より知られるようになりました。とはいえ今も、学校の先生は一人一人に手が回らず、行政もそこまで親身になってくれない、と感じます。でも、それを埋めるように子ども食堂や交流スペースなどは増え、親御さんがインターネットでそうした支援につながりやすくはなっています。
活動では重い現実に直面します。相談のメールは午後11時過ぎからが多いです。役所は閉まっている時間です。失業や精神疾患で働けずにこれからどうしようと悩んだお母さんが、子どもが寝てから、すがる思いで連絡をくれるのです。
うちに来る子どもたちは、ヤ…