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「ワカタケル大王」の文字が発見された稲荷山鉄剣のレプリカ=2024年10月25日、奈良市中院町、今井邦彦撮影
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 文化財の調査や保存処理を請け負う奈良市の民間機関・元興寺文化財研究所(元文研)。その名が有名になったきっかけは、1本の鉄剣から「大王」の文字を発見したことだった。同市中院町の元興寺法輪館で、その歴史を振り返る特別展「内部(なか)を視(み)る~文化財とX線~」が開かれている。

 会場で最初に目に入るのが、埼玉県・稲荷山古墳出土鉄剣のレプリカだ。1978年、元文研がこの剣をX線装置で撮影し、金で象嵌(ぞうがん)された計115文字が浮かび上がった。その中に5世紀の雄略天皇を指す「ワカタケル大王」の名があり、考古学と文献史学をつなぐ発見として大ニュースに。鉄剣は国宝に指定された。

 展示ではこうした経過をパネルで紹介。文字が発見された瞬間に立ち会った所員が「撮影した担当者は奇声を上げて暗室から飛び出して来た」と書いた原稿も並び、当時の興奮が伝わってくる。

 その後、元文研は全国から多くの文化財の保存処理や修復を請け負い、「文化財の総合病院」と呼ばれるように。X線装置もCT(コンピューター断層撮影)に進化した。「人間の病院と同じく『手術』の前にX線で撮影し、方法を検討するのが普通になった」と展示担当の尾崎誠さんは話す。

 同展ではX線を応用したこれまでの研究や保存修理の成果と最新の技術を、様々な資料とパネルで紹介している。

 17日まで、期間中無休。観覧料(入山料)は大人600円、中高生300円、小学生100円。修学旅行などで見学する学生には、展示解説書をプレゼントする。問い合わせは元文研(0742・23・1376、平日午前9時~午後5時)へ。(今井邦彦)

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