五穀豊穣(ほうじょう)や大漁を祈願した式年神幸祭(お浜降(くだ)り)が7日、千葉県旭市の浦賀神社で行われた。12年に一度、辰(たつ)年の11月7日に行われるもので、約500キロの神輿(みこし)が海の中に担ぎ入れられるのが特徴だ。
この地域は、2011年の東日本大震災では海沿いが浸水し、液状化現象も起きた。そのため、前回12年のときは規模を縮小し実施したが、今回は以前の姿に戻った。
神輿の25人の担ぎ手をまとめた鎌倉康成(やすのり)さんは煮干しや丸干しを作る水産加工業を営む。担ぎ手は一生に一度の大役であり、自宅に神輿を借りて担ぐ練習を重ねたり、祭りの前は3日間の『おこもり』をしたりして備えたという。「自分の代でも神様に海の恵みを感謝することができてよかった」
実行委員会会長を務めた千本松寿(ひさし)さんも「人口減少が進んでいる上、コロナ禍で人づきあいが変わった中、今まで通りに祭りができてよかった。これで次の祭りに伝統をつなぐことができた」と話した。
お浜降りは各地で行われている。浦賀神社での祭りも含め、国により「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選定された、「房総のお浜降り習俗」の一つになっている。(根岸敦生)