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敦賀原発2号機(中央)。右上の岬から連なる直線状の崖に沿って、活断層の浦底断層が通っている。右隣は1号機、左隣は新型転換炉「ふげん」で、いずれも廃炉作業中=福井県敦賀市、朝日放送テレビヘリから、林敏行撮影
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 原子力規制委員会は13日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の再稼働に向けた申請を不許可とした。規制委の発足後初めてのことで、直下に活断層があることを「否定できない」ことが理由だった。

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 活断層の可能性を否定できないなら、活断層として扱う。これは、東日本大震災の前から、原発審査のルールになってきた。

 原発は、事故を起こせば周辺にも大きな被害をもたらす。疑わしいものは考慮に入れ、最悪の事態を防ぐことは、原発の安全を守る上で、欠かせない考え方だ。

 今回の規制委の判断は、この原則に従って原電の申請内容を審査した結果に過ぎない。原電は、活断層でないとの主張を裏付けるだけの明確な証拠を示すことができなかった。

 一部に「(証明しようがない)悪魔の証明を求めている」との規制委批判があるが、筋違いだ。

 審査会合は公開され、資料や録画は誰でも見ることができる。その経過をみれば、原電が根拠とした地層の観察結果や試料は様々な解釈が可能で、根拠になり得ていないことがわかる。他の原発では、活断層ではないとの証明が認められたケースもある。

 原電は、なお追加調査を続けるとして、再稼働を目指す方針を崩していない。だが、直下の断層がずれることなど、原発の設計では想定されていない。

 もし、活断層ではないとの自説が誤りだったなら、どうするのか。あやふやな根拠のまま、原発を動かそうとする姿勢は、原電が掲げる「安全第一を最優先に」のポリシーとも相いれないのではないか。

原子炉の目と鼻の先に活断層

 そもそも、敦賀原発は国内の原発のなかでも特殊な場所にある。

 敷地内には、原電も認める活…

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