火をつけるとなめらかな炎が揺らめき、空気も心もとろけるようだ。
「和ろうそくは穏やかな面もあるし、力強い面もある。小さく、燃焼時間は30分ほどなので、タイマー的な使い道もあります」
1892(明治25)年に石川県七尾市で創業した高澤ろうそく店を営む高澤商店の5代目社長、高澤久さん(51)はそう話す。
石油由来のパラフィンワックスを使う洋ろうそくと違い、和ろうそくはロウも芯も植物由来だ。
筒状にした和紙にイグサの灯芯を巻き、真綿をうすく巻き付ける。それを型に挿し、主にハゼの実からとったロウを温めて流し込み、冷えたら取り出す。火をつけると中心の空洞が常にロウと空気を取り込むため、風に強く明るい炎になる。
江戸時代に製造が盛んになり、仏事のほか、照明としても暮らしに欠かせなかった。
七尾と和ろうそくの歴史は1…