ペルーの首都リマ郊外で14日、中国国有企業が過半を出資するチャンカイ港が開港した。南米随一の規模に成長すると見込まれ、両国のみならず南米・アジア間の貿易の増加に貢献すると期待される。ただ、米国側は軍事利用の可能性を指摘。「米国の裏庭」とされてきた中南米で存在感を高める中国に警戒を強めている。
ペルーのボルアルテ大統領と、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するためペルーを訪れた中国の習近平(シーチンピン)国家主席が同日、リマの大統領府からオンライン方式で開港式典に参加した。
チャンカイ港は中国国有の海運大手「中国遠洋海運集団(コスコ)」が60%出資。巨大経済圏構想「一帯一路」のプロジェクトの一環で建設された。水深が約18メートルと深く、大型のコンテナ船が接岸できる。アジア向けの輸送時間は10日以上短縮できるという。
習氏は同日のペルー紙への寄稿で、「中国とペルー間の輸送時間は23日に短縮され、物流コストも20%以上削減される」と強調。「ペルーに年間45億ドル(約7千億円)の収入をもたらす」と経済効果をアピールした。
一方、米南方軍のリチャードソン前司令官は今月、英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「水深の深い港であり、軍民両用の施設として使える」として、チャンカイ港が中国海軍に利用されうるという懸念を示した。(リマ=井上亮、清宮涼)