「搾乳(さくにゅう)できます」。横浜市内の商業施設の授乳室にこんなシールが貼られた。
実現に動いたのは、2500グラム未満で生まれた「低出生体重児」とその家族を支援するNPO法人。小さな赤ちゃんを育てる母の思いが込められている。
妊娠24週で緊急帝王切開に
NPO法人pena(ペナ)理事長の坂上彩さんは2018年、妊婦健診で「羊水がない」と言われた。
当時、妊娠24週。すぐに別の病院に搬送され、翌日、緊急帝王切開で出産した。赤ちゃんの体重は370グラムで、新生児集中治療室(NICU)に入院した。
初めてわが子を抱くことができたのは、誕生から1カ月目。寝息を立てながら眠る470グラムのわが子を両手に乗せると、温かさと命の重みを感じた。
退院したのは誕生から4カ月後。2326グラムに成長していたが、まだ抱っこひもで抱くと顔が見えないほど小さかった。
NICUに入院している赤ちゃんにとって、母乳は大切な栄養源だ。入院中は直接授乳できないので、搾乳して病院に届けなければならない。
トイレで搾乳したことも
ただ、その頃の坂上さんは授…