北朝鮮の朝鮮中央通信は18日、金正恩(キムジョンウン)総書記が、ウクライナでの戦争について「米国と西側による軍事介入拡大のための戦争だ」と語ったと伝えました。金正恩氏の発言にはどのような意図があるのか。北朝鮮政治を研究してきた韓国統一研究院の崔鎮旭(チェジンウク)・元院長は、北朝鮮兵士のロシア派遣の経緯を分析すると、追い詰められた北朝鮮の苦しい状況が浮き彫りになると語ります。
――北朝鮮兵のロシア派遣の動きをどう見ていますか。
北朝鮮の建国精神に合わない行動です。金日成(キムイルソン)主席は日本から祖国を解放し、米国と闘争し、非同盟諸国のリーダーを自任してきました。「大国から小国を守る」というのが、北朝鮮の掲げた方針でした。ベトナム戦争でも、米国と戦う北ベトナムを助けました。
ところが、今回はウクライナを侵略するロシアを助けています。北朝鮮がロシアへの兵士派遣を国内向けに報道しない理由の一つだと思います。
――兵士派遣の事実は兵士の両親にも伝えられていないようです。
北朝鮮も少子化が進み、一人っ子の家庭が非常に多いようです。私は過去に8度ほど訪朝しましたが、案内してくれた朝鮮労働党統一戦線部(当時)の幹部らは、いつも子供の話ばかりしていました。北朝鮮では社会が厳しいので、より子供に愛情を注ぐようです。
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もし、子供がロシアで戦死すれば両親らは怒り、嘆き悲しむでしょう。金正恩氏は大きな賭けに出たと思います。
韓国の音楽禁止 「揺らぐ北朝鮮の体制」
――北朝鮮軍は兵士らにロシア派遣に応じるかどうか意思を確認していないようです。
北朝鮮軍が兵士の意思をいち…