Smiley face
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NHK杯女子SPで演技する青木祐奈=小林一茂撮影

 その夜、青木祐奈(MFアカデミー)は泣いていた。

 米テキサス州アレンで10月にあったフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ開幕戦「スケートアメリカ」。フリーで自己最高の126・52点をマークし、10位と出遅れたショートプログラム(SP)から追い上げたものの、総合7位に終わった。

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 樋口新葉(ノエビア)が優勝し、渡辺倫果(三和建装・法大)は2位。抱き合って喜ぶ2人とは対照的な涙だった。

 「もうちょっとショートを頑張ってたら……、頑張ってはいたんですけど、もうちょっと良かったら表彰台も夢じゃなかったなって」と青木。翌朝、日が昇る直前まで22歳は泣いた。

 悔しくて泣きたい時、その日は感情に思い切り従うようにしている。そして、次の日には切り替える。それが自分に合っていると感じている。

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スケートアメリカでの練習中に話す青木祐奈(右)と中庭健介コーチ=米テキサス州アレン

 全日本ノービス選手権のカテゴリーAを制したのは中学1年の時だった。その年、全日本ジュニア選手権では5位に食い込み、国際大会でタイトルも手にした。

 上昇気流に乗ったように映った競技人生はしかし、思うようには進まなかった。翌シーズンからジュニアのGPシリーズに参戦したが、表彰台が遠い。日本大学2年の時に挑んだ2021年の全日本選手権ではSPで最下位の30位に沈み、フリーに進むこともできなかった。

 「本当にもう隠れたいなとい…

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