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北朝鮮が2024年10月31日に試射した最新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星19」。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信
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北朝鮮インサイト⑰

 世界が注目した米大統領選で、トランプ前大統領の返り咲きが決まりました。第1次政権で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記とシンガポールやベトナムのハノイで会談したトランプ氏。7月の演説では金正恩氏と「とても仲が良かった」などと述べました。再び米朝が接近し、北朝鮮に強硬な姿勢であたる韓国の頭越しに、首脳会談を実現させるのではないか、との観測も飛び交います。公安調査庁で長く北朝鮮を分析してきた坂井隆さんは、北朝鮮にとってトランプ政権の復活は「好機であると同時に危機にもなりうる」と指摘します。

【連載】北朝鮮インサイト

核・ミサイル開発に邁進し、日本にとってやっかいな隣国・北朝鮮。この国は実際どうなっているのか。40年以上にわたり、北朝鮮を分析してきた元公安調査庁職員による、プロフェッショナルの見方をお届けします。

 〈箱田〉次の米大統領にトランプ氏が就くことで、米朝対話が進展するという見方と、そんなに簡単にはいかないという指摘が交差しています。まず、金正恩氏の立場で考えると、この結果はどう映っていると考えられますか。

 〈坂井〉金正恩氏が、トランプ氏に個人的な親近感や信頼感を抱いているとは考えにくいです。2019年2月にあったハノイでの米朝首脳会談でトランプ氏は強圧的な対応をしましたし、米韓合同軍事演習を中止するという約束も守らなかったことなどから、むしろ強烈な不信感や不快感を抱いている可能性が高いと思います。

北朝鮮ウォッチャー 坂井隆さん

さかい・たかし 1951年生まれ。78年に公安調査庁に入庁し、ひたすら北朝鮮をウォッチし続けてきた。2012年に退官後も独自に分析を進め、その手腕は専門家らの間でも高い評価を得ている。共著に「独裁国家・北朝鮮の実像」(17年、朝日新聞出版)など。

 〈箱田〉北朝鮮はトランプ政権の復活を望んでいるはずだ、との見方がありましたが、一概にそうとは言い切れないと?

 〈坂井〉いえ、個人的な思い…

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