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8回無失点と好投した広島商の徳永啓人=2024年11月22日、神宮球場、大坂尚子撮影

(22日、明治神宮野球大会・高校の部準々決勝 広島商3―0東海大札幌)

 1899年に創部した広島商が、初めての明治神宮大会で1勝を挙げた。

 その中心にいたのが先発左腕の徳永啓人(2年)だ。

 直球は130キロ台だが、勢いがあった。「最初は変化球が抜けていたけど途中で修正できた」。大きく曲がるカーブを生かし、8回4安打無失点に抑え、六回2死までは無安打投球だった。

 1924年に初めて阪神甲子園球場で行われた全国大会で頂点に立ってから、史上3位タイとなる春夏通算7度の優勝を誇る伝統校。かつては圧倒的な強さを見せていたが、88年に全国制覇を達成したのを最後に、全国規模の大会だけでなく県内でも思うような結果が出ない時期が続いた。

 強さを取り戻すために、2018年に就任した荒谷忠勝監督が「PDCAサイクル」を導入した。野球日誌などで選手たちは反省点を明確にし、課題を一つずつ潰すことで技術が向上していった。

 徳永は今夏ベンチ外だったが、「シャドーピッチングを繰り返してフォームを安定させた」。コントロールが良くなり、今秋になって初めて背番号を手にした。

 荒谷監督は言う。「広商の教えの中で、『伝統』は古いものを守るわけじゃなくて、その代、その代で新しいものを創造していくという大先輩が残された言葉がある。新しいものを生成していくことを大事にしています」

 快投を披露した徳永は試合後、すでに前を向いていた。

 「自分たちの目的は夏で全国制覇をすること。そこに向けての通過点となるように神宮でも優勝できれば」(室田賢)

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