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水郡線の特別列車。色鮮やかなラッピングに「90周年」と記されている=2024年11月14日午後4時、JR水戸駅、原田悠自撮影
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 茨城、福島両県を結ぶJR水郡線は、12月4日に全線開通から90周年を迎える。JR東日本水戸支社などは、同月末まで特別列車の運行や限定駅弁の販売などを実施する。

 特別列車は2両編成で、水戸―郡山、上菅谷―常陸太田の全線で10月から運行中。国名勝・袋田の滝や奥久慈りんごといった観光地や特産品が描かれたラッピングが施されている。

 沿線のブランド食材をふんだんに使った記念の駅弁「いろ鶏どり」も発売を始めた。

 茨城県大子町産のしゃも焼きや玉こんにゃく煮、常陸大宮市産の卵焼き、県産の常陸牛しぐれ煮など、味だけでなく見た目にもこだわったという。価格は税込み1380円。水戸、勝田の両駅のほか、東京、上野、新宿、大宮の各駅でも販売中だ。

 今月30日と12月1日には、大子町文化福祉会館「まいん」と同町立だいご小学校で「水郡線フェス」も催される。上空から水郡線を眺める「熱気球搭乗体験」や、水郡線の駅名の由来をたどるステージイベントなどが予定されている。(原田悠自)

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 ただ、水郡線が置かれている現状は厳しい。

 JR東日本は、2023年度に利用客が特に少なかったローカル線について発表した。県内では水郡線、鹿島線の2路線4区間の収支を明らかにし、赤字総額は30億2100万円だった。

 昨年までは、19年度に1日の平均通過人員が2千人未満だった路線を対象に開示してきたが、今年からはJR東日本管内の路線すべて(36路線72区間)を対象に2千人未満だった路線を開示した。県内ではあらたに、水郡線の上菅谷―常陸太田が加わった。

 赤字総額の内訳は、水郡線3区間が計22億800万円(営業距離67.4キロ)、鹿島線(17.4キロ)が8億1300万円だった。

 列車を走らせる費用に対し、収入がどれだけあったかを示す「収支率」は、最も低かったのが常陸大子―磐城塙(福島)で1.8%(前年度比0.1ポイント増)。次いで常陸大宮―常陸大子が5.7%(同0.4ポイント増)、鹿島線の香取(千葉)―鹿島サッカースタジアムが9.8%(同1.6ポイント減)、上菅谷―常陸太田が13.3%だった。

 水郡線の収支率がわずかに改善した理由について、JR東日本水戸支社の担当者は取材に、23年10月から12月に県内で開催された「デスティネーションキャンペーンによる観光客の流入が利用増加につながった可能性がある」と話した。(古庄暢)

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