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【ニュートンより】新紙幣のテクノロジー(4)

 紙幣に高度な偽造防止対策をほどこすことは,“信用”を守るためだ。現代の貨幣の価値は,紙幣や国家に対する信用が保証している。極端な例だが,貨幣を発行している国家が戦争などによって機能不全になれば,貨幣の価値は大きく下がる。偽造紙幣の場合も,大量に出まわれば紙幣への信用は落ちて価値は下がり,経済的な混乱におちいる危険性がある。

 実際,かつて戦争中の敵国の偽造紙幣をつくって敵国を混乱させようとした事件が複数件おきている。第二次世界大戦中にナチス・ドイツの親衛隊による大規模なイギリスのポンド紙幣の偽造作戦「ベルンハルト作戦」などが有名だ。偽造紙幣は国家の信用をゆるがしうるため,各国は紙幣の偽造防止技術を絶えず進化させ,その時代の最高の技術を何種類も最新の紙幣に使っている。

 「偽造防止技術の進化と偽造紙幣づくりはイタチごっこです」と前田教授は話す。高度な偽造防止技術が導入されれば,偽造紙幣づくりも高度になり,それを受けて次の紙幣にはより高度な偽造防止技術が導入された。紙幣が進化すると偽造犯の姿も変わっていった。昔は絵画の贋作をつくるような芸術家肌の偽造犯が手書きで紙幣を偽造した事件もあった。現代に近づくにつれ偽造紙幣をつくるのに資金や組織力が必要になり,大規模な犯罪集団がつくるようになった。

 「最近では海外も含めて大規模な偽造紙幣事件の話は聞きません」と前田教授は話す。犯罪集団の関心がサイバー攻撃などに移ったという面もあるかもしれないが,紙幣に最先端の偽造防止技術をいくつもつめこんだ成果がしっかりと出ているといえるだろう。

■機械が紙幣を識別するしくみ…

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