地方議会の海外視察の現状を調べるために、全国47都道府県と20政令指定市の議会へ昨年末に朝日新聞がアンケートしたところ、半数を超える36議会が2023年度に計408人の議員の海外視察を実施(予定含む)していた。海外渡航を控えたコロナ禍が収束し、以前の水準に戻っていた。
地方議会の海外視察は海外の先進事例を知って地元の課題解決につなげる効果があるが、近年では「海外旅行では」といった批判も多い。
昨年11月に香川県議会の南米・北米視察では、当初の計画が1人あたり263万円だったことで、「高額すぎる」と見直しを求める署名3万筆が集まる事態となった。
- 香川県議の海外視察、1人263万円 「あまりにも高額」と批判
アンケートは67の議会事務局を対象に昨年11~12月に実施し、全自治体から回答を得た。
記事の後半で、都道府県・指定市議会アンケートの結果一覧を紹介しています。
年度末にコロナが国内初確認された19年度と、5類になった23年度で、海外視察の実施の有無や各年度の参加議員の延べ人数、費用、視察目的などを尋ねた。
19年度は26都道府県と6政令指定市の議会が計65回の海外視察を実施。延べ393人の議員が参加し、費用総額は計3億6905万円で、参加議員で平均すると1人あたり93万円かかっていた。
これが23年度は、28府県と8政令指定市の議会が計80回の海外視察を実施(予定含む)し、参加議員数も延べ408人に増えた。
費用総額は計4億5438万円で、参加議員1人あたりだと111万円。円安の影響もあるが、19年度より総額も平均額も2割増えていた。
費用1位は福岡県、2位は愛知県
23年度で費用、人数が最多だったのは福岡県議会。アメリカ、インドなど7カ国・地域を9回視察し、延べ49議員が参加。費用総額は7999万円。参加議員1人あたり163万円かかっている。
費用が2番目なのは愛知県議会で、32議員が6カ国を4回視察。参加議員で平均すると1人あたり233万円かかっていた。
アンケートでは視察の目的も尋ねた。「現地の自治体や県人会との交流のため」「海外の事例・政策調査のため」「県の産業・文化振興や特産品PRのため」「その他(記述式)」から複数選択で回答を得た。
23年度は「交流」の26議会が最多で、次いで「事例・政策調査」が23議会、「PR」が12議会。
19年度は「事例・政策調査」が23議会、「交流」が20議会で、コロナ禍後は「交流」を渡航目的に含めた視察が増えていた。(山田健悟)