洋画の先駆者として知られる岐阜県出身の画家・山本芳翠(1850~1906)が描いた油彩画の作品2点が、もとは1枚の絵として描かれたものだったことが、岐阜県美術館の調査で分かった。発見の手がかりは「三越」の絵はがき。日本を代表する洋画家が、百貨店文化の発展にも貢献していた可能性が考えられるという。
県美術館で開催中の回顧展にあわせた調査で判明した。山本芳翠は、国の重要文化財「裸婦」やおとぎ話の浦島太郎をモチーフにした「浦島」などで知られる明治期を代表する画家。日本近代洋画の父とされる黒田清輝を洋画の世界に導いた。
今回の発見となった2点とは、東京国立博物館(東京都)が所蔵する、桜にウグイスを描いた油彩画「花鳥」と、ウッドワン美術館(広島県廿日市市)が所蔵する和服姿の女性を描いた油彩画「婦人像」。
2点が1枚の絵だと突き止めたのは、岐阜県美術館学芸員の廣江泰孝さん(54)と松岡未紗さん(41)。芳翠の回顧展を開催するため、作品を探し求めていたところ、ウッドワン美術館に芳翠の作品と伝わる「婦人像」が所蔵されていることが分かった。同館で作品を目にした廣江さんは、「一目で芳翠が描いたもの」と確信する一方、作品が切り取られたような不自然さも感じたという。
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