Smiley face
写真・図版

 句集「母(オモニ)」が現代俳句協会から刊行された。著者は朴美代子(パクミデジャ)さん(79)。福岡県に生まれ、多くを名古屋市で育った在日韓国人だ。50代のころ、俳句と出会った。怒り、苦しみ、哀(かな)しみを十七音で表現できることに衝撃を受け、作句にのめり込む。

 過酷な境涯が分かる句の数々には息をのむ。〈芋買うにも外人登録持ち歩く〉〈在日の鎖骨に夕焼け沈みゆく〉〈在日や我が身ひとつの虫の闇〉〈鏡の私泣きそうだから手をふった〉〈透明になるまで泣いて泣いてやる〉〈わが柩(ひつぎ)小窓とじれば北風止(や)む〉

 胸にしみるのは、句集名にもなった「母」を追慕する句群だ。

 大鷹(おおたか)となりて母…

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