ピッチで過ごす最後の瞬間に身にまとうのは、「奇跡の一本松」があしらわれたユニホーム。サッカーのJ1川崎フロンターレ一筋で、日本代表でも活躍したMF中村憲剛さん(44)が14日、古巣の本拠・UvanceとどろきスタジアムbyFujitsu(川崎市中原区)で引退試合をする。東日本大震災の被災地支援がきっかけでつながった青年が、後半45分間に着るユニホームをデザインした。
手がけたのは東京都内のアパレル会社で働く菅野朔太郎さん(25)。中村さんとの出会いは忘れようのない大災害が故郷の岩手県陸前高田市を襲った2011年だった。
- 元日本代表MFが眠れないほど緊張したこと 中村憲剛が語る引退後
フロンターレは発災から間もなく、選手が登場する算数ドリルを提供するなど、同市の支援に乗り出した。現役時代の中村さんも、被災者を励ますために現地入りした。
当時、菅野さんは小学5年。自宅や母が経営する衣料品店が津波で流され、仮設住宅と学校を行き来するだけの日々を過ごしていた。心待ちにしたフロンターレのサッカー教室に参加し、選手たちとボールを追い、バーベキューをした。一緒に写真を撮ってくれた中村さんは「がんばって」と言ってくれた。「あの中村憲剛が来てくれて、一緒にサッカーをしてくれた。本当にうれしくて、今でも興奮は忘れられない」
幼い頃からサッカーをするの…