奈良時代、称徳天皇(718~70)の発願で建立された奈良市の西大寺。現在の寺域の北にあった金堂院跡(同市西大寺小坊町)を発掘調査した奈良文化財研究所は12月13日、二つあった金堂を囲む回廊の基壇の一部や、同寺では初めての灯籠(とうろう)の跡を確認したと発表した。
回廊は金堂院の北にあった「弥勒金堂」と、中央にあった「薬師金堂」の西を巡るもので、南北約15メートル分の基壇が出土した。中央が壁で仕切られた「複廊」で、幅約11メートルだった。
弥勒金堂と薬師金堂に挟まれた内庭部の調査では、両金堂の中軸線上が小石敷きで舗装されており、磚(せん)(れんが)でロの字状に囲まれた東西約1・8メートル、南北2・5メートル以上、深さ約0・8メートルの穴が見つかった。他の古代寺院の例から、灯籠の台座の跡と推定された。
21世紀に入って全容が次第に明らかに
調査を担当した浦蓉子研究員…