帯状疱疹(ほうしん)を防ぐワクチンが、2025年度から65歳以上の人で定期接種になる見通しだ。皮膚に刺すような痛みや水ぶくれが生じ、ときに神経痛が何年も続くことがある帯状疱疹。ワクチンの対象ではない若い人で増えているというデータもあり、専門家は「休息が唯一の対策」と指摘する。
千葉県の女性は、85歳だった20年春ごろ、痛みを伴う発疹が腰に現れ、帯状疱疹と診断された。発疹が治まった後も神経痛が残った。痛みで起き上がることが少なくなり、そのまま寝たきりとなって23年夏に88歳で亡くなった。
帯状疱疹は、水ぼうそう(水痘)のウイルスが原因だ。水ぼうそうが治った後も神経に潜伏し、免疫の働きが落ちると活性化して、痛みや発疹を引き起こす。10~50%の患者は、数カ月から数年にわたって神経痛が残るとされる。
奈良県立医科大の浅田秀夫教授(皮膚科)によると、長く続く神経痛がきっかけになって、うつや寝たきりになるなど、生活の質が著しく低下する高齢者もいるという。
「65歳以上の人は、特に神経痛の後遺症が残るリスクが上がる。定期接種のタイミングが来たら、接種して予防しておくことを勧めます」
帯状疱疹は80歳までに3人に1人が経験すると推定されている。かつては発症しても生涯に一度きりと言われていたが、時間が経つと再び免疫の働きが落ちて、再発しうることが調査で分かってきた。
浅田さんによると、発症から…