この舞台に戻ってくることを最も望んでいた漫才コンビだろう。昨年のM―1グランプリ最終決戦で令和ロマンに1票差で敗れ、惜しくも2位だった「ヤーレンズ」(2011年結成、ケイダッシュステージ所属)。あれから1年。テレビやラジオの仕事はうなぎ登りに増え、活躍が続くが、やはりリベンジに燃える日々を過ごしてきた。12月22日の決勝にかける思いを聞いた。
――2年連続の決勝進出です。昨年と比べて心境の変化はありますか。
出井隼之介(じゅんのすけ) 昨年は「これで人生を変えるんだ」と意気込みが強かったんですけど、今年は楽しみという気持ちが強いですね。
楢原真樹 ゆうしょう、これだけですね。有償の方ですけどね。22日の決勝後にこの意味がわかります。
出井 意味がわからんだろ。なんで朝日新聞さんで(ボケを)回収してもらうんだよ。
――決勝進出組が発表された時、事務所の先輩、トム・ブラウンとの熱い抱擁が話題になりました。
出井 今年は、年が明けてからすぐに「この2組で絶対決勝に行こう」って話をずっとしていて。向こうがラストイヤーなんで。本当にそうなって、めちゃくちゃうれしかったですね。なかなかあることじゃないんで。
楢原 (準決勝後に)4人で円陣というか、スクラムを組んだときに、トム・ブラウンのみちおがとんでもなく臭かったです。デリケートなことなんで、あのときは言えなくて。ケアしとけよってことを間接的に伝えてあげたいですね。
出井 何てことをここで言うねん。涙とかでくしゃくしゃだな、とは思ったけど。
昔からネタを見せ合っていて。僕らはわりと理論的に考えるんですけど、あの人たちは感覚的で。「こっちの方がいいんじゃない」って、よくアドバイスをもらうんですよ。
例えば、舞台に出てくる順番。「楢原が先で出井があとの方がいいんじゃない?」って言われて。変えてみたらしっくりきました。
――今の事務所に入ったのも、トム・ブラウンに憧れて入ったという逸話がありますよね。
楢原 憧れないですね、あんなもんに。憧れはないです(笑)。
出井 元々大阪でネタをやっていたんですが、標準語でネタをやっていたこともあって、関西での僕らの未来があまり見えなくて。それで上京しました。吉本興業を辞め、フリーになって事務所を探していたときに、たまたまトム・ブラウンのネタをみる機会があって。
めちゃくちゃ滑ってたんですけど、とにかくネタが面白かった。お客さんに伝わっていないのに、めっちゃ面白い。そこにひかれたって感じですかね。
――ますますトム・ブラウンへの愛が伝わってきます。
出井 トム・ブラウンがいなかったら、コンビを続けられていないんじゃないかってぐらい、貴重な存在ですね。本当にあの2人は健全で、気持ちのいい人間なんですよ。
――昨年は令和ロマンに敗れて2位でした。相手は今年も決勝進出を決め、連覇を狙っています。リベンジに燃えているのでは?
出井 やっぱり令和ロマンに…