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炎をあげて燃える航空機=2024年1月2日午後6時35分、羽田空港、小玉重隆撮影

 羽田空港の滑走路で今年1月、日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突し、海保機の副機長ら乗員5人が死亡した事故で、国の運輸安全委員会が25日、事故経緯や海保機内の音声記録をまとめた経過報告書を公表した。海保機側は管制官の指示と違い、滑走路への進入許可を得たと認識。機長は運輸安全委の調べに対し、「飛行目的が震災の支援物資輸送だったため、離陸の順位を優先してくれたと思った」と証言していたことも明らかになった。

 運輸安全委は①海保機が管制官から許可が出たと考えて滑走路に進入した②管制官が海保機の進入に気づかなかった③JAL機が滑走路上にいる海保機に気づかずに着陸した、という三つの要因が重なり事故が起きたと考え、調査を進めている。

 報告書によると、海保機は、前日に起きた能登半島地震の救援のため、物資を積んで新潟空港に向かう予定だった。管制官と交信していたのは海保機の副機長で、機長もヘッドホンで聞いていた。機長は同時に海保の羽田航空基地とも交信していた。

 管制官との交信記録では、管制官が海保機に対して英語で「ナンバーワン。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください」と指示。海保機の副機長が復唱し、応じていた。C5は誘導路で、滑走路手前の停止位置まで行くよう指示していた。

 今回初めて公表された海保機内の音声記録では、副機長が管制官の指示に応じた後、機長が「ナンバーワン」「C5」とのみ復唱。その直後、機長は進入許可を得た後に行う「離陸前点検」をするよう指示し、副機長が点検を始めた。機体はそのまま滑走路内に入って停止しており、進入を止めるようなやり取りはなかった。

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管制官と海保機のやりとりと認識

 機長は運輸安全委の調べに対…

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