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【動画】「ヒップホップは社会福祉」悪口禁止のMCバトル=上保晃平撮影

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MCバトルのイベントを主催する松島諒さん(中央)=2024年10月19日午後7時18分、札幌市中央区、上保晃平撮影
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 ヒップホップは社会福祉だ――。そんな美学のもと、「MCバトル」のルールを工夫する男性がいる。生きづらさを歌うラップに、悪口は必要ない。さあ、中指よりも親指を立てよう。

 札幌市の繁華街・ススキノのクラブで10月、「ぽことん」として活動する高校生ラッパーの吉田泰斗さん(16)が、しっとりとポエトリーラップの新曲を歌い上げた。

 「弱虫と犬の物語」

 自作した歌詞は、母親が再婚し、学校でいじめも受けていた小学5年生の頃を振り返る内容だ。

 同居することになった継父は、仕事をやめ、家で酒を飲んでは母親に暴力を振るった。新型コロナの感染拡大で授業がなくなり、そんな継父と一日の大半を過ごしたという。

 唯一の心の支えは、継父が連れてきた子犬の「ポコ」だった。体は小さいのにとても活発。ふわふわな白い毛と走り回る姿にいやされた。

 しかし、1年で親が離婚すると、ポコとも離ればなれに。首輪と愛情だけが残った。

 《弱い僕を小さい僕を 置いていかないで 君はどこへ》

 いまは誰か里親のもとに預けられていると聞く。ポコとの戻らない日々を思い出し、再会を願って曲を作った。

 ラップを始めたのは約2年前。友人とのノリで、SNSで流行していたMCバトルをすることになった。最初はまったく言葉がつながらなかったが、続けるうちに即興でやりとりができるようになった。

 「シャイな性格だったけど、ラップを通して学校外でも友達ができて、いろんな人と仲良くできるようになった」

 つらい過去も曲にしてさらけ出す。そうすることで「心が強くなった」と感じている。

「駆け込み寺のような空間に」

 この日、吉田さんが歌を披露したのは「暴力反対MCバトル」というイベントだ。

 ラップの技術や表現力を競うMCバトルだが、このイベントでは悪口が禁止されている。お題を事前に参加者や観客から募り、1対1でラップをする。勝者は観客が多数決で決める。

 「タコス」「あこがれ」といったテーマに沿って、学生から50代まで男女16人が熱いバトルを繰り広げた。

 髑髏(どくろ)とZefarの決勝のテーマは「ポケモン」だった。ゆったりとしたビートにあわせて、ダイマックス(巨大化)やノーマルタイプなど、ポケモンに登場する言葉が即興でぶつかり合う。

 《髑髏というモンスターはボ…

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