藤井聡太名人(22)=竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=への挑戦権を10人のA級棋士が争う「第83期将棋名人戦・A級順位戦」(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦5局が27日、静岡市葵区の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で一斉に指される。順位戦は持ち時間が各6時間と長く、A級は昨年6月に開幕して以来の長丁場のリーグ戦の締めくくりで、A級最終戦の日は「将棋界の一番長い日」と呼ばれてきた。将棋界の年度末の風物詩だ。
2024年度の第18回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)で準優勝を飾った井田明宏五段(28)は、静岡市での大盤解説会の解説者の1人でもある。「レベルの高い将棋を解説させていただくのは光栄ですが、責任重大」という井田五段に、最終戦5局の見どころを聞いた。
▲佐々木勇気八段(30)【4勝4敗】VS.△佐藤天彦九段(37)【6勝2敗】
――単独トップの佐藤九段が勝てば、名人挑戦権獲得が決まる一局となりました。
「佐藤九段は24年、初めて振り飛車を主力に戦われたそうですが、新しいことに挑戦して、すぐ結果を出すのは、すごいこと。こうした勢いが、最終戦でも発揮されるかどうかに注目しています」
――過去の対戦成績は佐々木八段4勝、佐藤九段3勝。24年以降は同年1月に2局指して、両者1勝1敗。その2局の戦型は三間飛車と四間飛車でした。
「その2局は、スタンダードな振り飛車という感じですね。佐藤九段は、その後、振り飛車に対する理解度を上げられたな、と私は感じています。今までの振り飛車というより、新しい振り飛車の指し方にチャレンジされている棋譜を、よく拝見しました。ですから、直近の過去2局とは、また違った雰囲気の将棋になるのでは、と予想しています」
――佐藤九段は後手番ですが…