総合職は男性、一般職は女性という考えに基づき、社宅の利用や賃金で「男女差別」を受けたとして、素材大手「AGC」(旧旭硝子)の子会社に勤める一般職の女性が差額の住宅手当や賃金を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。別所卓郎裁判長は子会社に計約378万円の支払いを命じた。
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判決は「社宅制度の利用を総合職に限定することに合理的理由はない」とし、男女雇用機会均等法の趣旨に照らして「間接差別に該当する」と指摘。「会社側が間接差別を是正せずに社宅制度の運用を継続していることは違法だ」と認定した。その他の請求は退けた。
住宅手当、24倍の格差も
原告の女性が勤めるのは、AGC完全子会社の「AGCグリーンテック」(東京)。訴状などによると、同社の総合職はほぼ男性、一般職はほぼ女性で構成。賃貸住宅を社宅として扱う制度は総合職だけに適用され、会社が家賃の最大8割などを負担する一方、一般職は3千円の住宅手当にとどまり、約24倍の格差になることもあったという。
女性側は、社宅制度という福利厚生の取り扱いを事実上性別で変えるのは男女雇用機会均等法に違反すると主張していた。
また、一般職で入社した男性の賃金が1歳違いの女性よりも高いのは、労働基準法の男女同一賃金の原則に違反するとも訴えていた。
一方、被告の会社側は「一般職を女性、総合職を男性と区分している事実はない」と反論。総合職に限定した社宅制度は「他社に差をつける採用戦略の一環」などと説明していた。(高橋諒子)