Smiley face

【動画】専用タブレットで「Aikomiケア」の認知症ケアプログラムを鑑賞する様子=石川春菜撮影

 音楽などのさまざまな活動を通じて、不安や暴言などの認知症の周辺症状を抑え、認知症の人が「自分らしく」暮らし続けることをめざす「非薬物療法」。そこに、AI(人工知能)などのデジタル技術をいかす動きがある。

 重度認知症の母(86)が、タブレットの画面に映った自分の息子である兄を見て、にっこりほほえんだ。

 「母が母に戻った。奇跡の瞬間でした」。木南治子(なおこ)さん(48)は、1年半前をこう振り返る。

 グループホームで暮らす母は、前頭側頭型認知症で要介護度は最も重い「5」。発話するのは単語の羅列で、会話は成り立たない。

 目の前の人や物が何かを認識することも難しく、「怒っているか、寝ているか、うつ状態か」という状況が続いていた。笑顔はほとんど見なくなっていた。「目も合わず、意思の疎通ができなくなっていくことが一番つらかった」

写真・図版
Aikomiの木南治子さんと母=2024年5月、木南さん提供

 変化があらわれたのは、木南さんがコンテンツ開発を担当する、認知症ケアプログラムの利用を始めてからだ。

 株式会社Aikomiが20…

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