「握った手の数しか票は出ない」。石破茂首相は今年1月、自民党の仕事始め式でこう語った。地域をくまなく回り、有権者の声に耳を澄まし、支持者を増やす――。首相が師事し、たたき上げで総理大臣に上りつめた田中角栄氏に連なる「どぶ板」の思想だ。
自民党は70年前の結党以来、地方議員から国会議員に至るまで、どぶ板選挙を徹底して有権者の声を吸い上げてきた。この活動なしに、戦後のほとんどを政権与党として過ごすことはかなわなかっただろうとさえ思う。
だが、急速に進化するAI(人工知能)を前に政党の活動も変わりつつある。5月に朝日新聞が取り組んだ「AIと民主主義」の企画では、変容を迫られる既存政党と政治家の姿を追った。
永田町でAI活用のトップラ…