画面上のAIの勝率は「100%」と示されている。だが、名人の着手を境にその数値が急に下がった。本当に名人の勝ちなのだろうか――。
3連覇を目指す藤井聡太名人(22)=竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期将棋名人戦七番勝負の第1局。2日目を迎えた10日の夜、藤井名人が勝利に近づいていると思われた終盤戦でその現象は起きた。
名人戦第1局2日目の終盤戦の中継(視聴にはユーチューブ「囲碁将棋TV」のメンバーシップ登録が必要です)
藤井名人は永瀬九段の玉に王手をかけ続けている。「詰み」を確信しているようだ。YouTube「囲碁将棋TV」の解説で聞き手を務めていた私も、藤井名人の勝利を想定して番組を進行していたが、AIが示す勝率がなかなか「100%」に戻らないうちに不安になった。思わず「動揺しています」と口にしてしまったが、副立会人の近藤誠也八段(28)は「いや、これは(藤井名人が)詰ましにいっています」と冷静を保っている。ほどなくして、勝率は100%をキープし続けるようになり、藤井名人の勝利となった。
なぜ、このようなことが起き…