Smiley face

 AIを使えば、1億人が熟議し、合意をめざすことも夢じゃない。そんな社会を実現しようと、本気で動き出しているエンジニアがいる。

 安野貴博(34)。昨年の都知事選に立候補し、AIによって、誰もが参加できる開かれた政治をめざすと訴え、15万票を集めた。今年1月、AIを使ったプロジェクト「デジタル民主主義2030」を発表。膨大な意見を可視化するブロードリスニングと、討論プラットフォームが柱だ。政党や自治体に呼びかけると、複数の政党が応じた。日本の政治分野で、AI活用のムーブメントを作り出した立役者だ。

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連載 AIと民主主義④

 AIでどんな「熟議」ができるのか。安野が東京都のAI戦略会議に向けて提案した討論プラットフォーム「いどばた」がある。記者もやってみた。

「学校教育で活用、もってのほか」AIの返答は…

 テーマは「学校教育にAIを活用することについて」の意見募集。試しに、AIをあえて批判するような内容を、オンラインのチャット欄に打ち込んでみた。

 「AIを教育に使うなんてもってのほかだ」

 数秒も間を置かずにAIが返答する。「ありがとうございます。もってのほかだと感じていらっしゃるんですね」

安野氏は、AIを使った「討論」で意見を集約する仕組みについて、台湾の初代デジタル担当相、オードリー・タン氏が進めたオンライン討論を参考にしたといいます。記事の最後ではオードリー・タン氏への単独インタビュー動画も視聴できます。

 AIは続ける。「具体的にど…

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