安藤和宏・東洋大教授。5月には著書「アメリカ著作権法」(弘文堂)が刊行された=東京都文京区、越田省吾撮影

 書籍を権利者に無断で生成AI(人工知能)の学習に利用したことは「著作権侵害には当たらない」。そんな判決が今月、米国で相次いだ。今後のAI開発や、創作にどんな影響をもたらすのか。日米の著作権法に詳しい安藤和宏・東洋大教授に聞いた。

 米カリフォルニアの連邦地裁で、23日には新興AI企業のアンソロピック、25日にはIT大手のメタ社を相手取った裁判の判決があった。いずれも作家らが原告で、作品がAIに無断学習されたことを違法だとして争っていたが、判決はAIの学習はフェアユース(公正利用)にあたるとして、著作権侵害を認めなかった。

  • AI学習に書籍を無断利用、著作権侵害認めず 米連邦地裁が合法判決

 「二つの判決は、AI企業にとって非常に追い風になった。一方で、AI企業とライセンスの交渉を進めていた権利者側にとっては、ダブルパンチを食らったような衝撃だったのではないか」と、安藤教授は言う。

停滞するライセンス交渉

 世界ではいま、さまざまな分…

共有
Exit mobile version