Smiley face

 写真や動画を見ると、顔に視線がいくことが多い。目からは、背景も含めた複雑な画像が脳に届いているのに、注目すべき対象が瞬時に識別される。このようなヒトにそっくりの「視線」を人工知能(AI)が獲得できることを大阪大のグループが見つけて専門誌に発表した。ヒトの脳が視覚情報を処理する仕組みの解明や、ロボット開発などに役立つ可能性がある。

写真・図版
大量の視覚情報を受け取り学んでいく赤ちゃん

 グループが使ったのは画像識別ができる「ビジョン・トランスフォーマー」と呼ばれるAI。言語翻訳用に開発されたAI「トランスフォーマー」を画像に応用したものだ。単語のかわりに画像を断片化して入力、画像どうしの関連性などに「注意」を向け、画像全体の情報を統合して、画像を分類する。

 このAIを機能させるには、まずAIに画像をたくさん見せて学習させ、育てる必要がある。グループは、「教師つき学習」と「自発的学習」の2通りで育ててみた。教師つき学習は、100万枚の画像を識別した「正解」を大量に覚えさせる詰め込み教育。自発的学習は、正解を与えず、何が重要なのかも教えずに勝手に学ばせる「DINO法」と呼ばれる方法にした。DINO法のほうが、教師つき学習より画像の識別精度が高いことが知られている。

 DINO法は、「情報をたく…

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