【ニュートンから】AIは半導体で進化する(2)
AIのニューラルネットワークでは,多数の人工ニューロンの間で同時並行的に多くの信号がやりとりされる。それらをすばやく計算するには,画像処理と同様に,並列処理が必要となる。AIの処理にGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)が利用されるのは,GPUが並列処理に適した構造をしているからなのである。
AIの処理に向いているとはいえ,GPUは基本的に画像処理用の半導体デバイスである。そこで,2010年代後半から,GPUの構造を土台にして,AIの処理に特化した半導体デバイスが開発されるようになった。AIの処理に特化した半導体デバイスは,「AIチップ」などとよばれる。
演算器の“空き時間”を減らすくふう
AIチップも,並列処理を行うために大量のコアをそなえている点はGPUと同じだ。一般的にGPUは,CPUの命令にもとづき,GPUの外にある「メモリ」から演算するためのデータを読みこみ,演算を行う。そして演算が終わったら,演算結果を外にあるメモリにまとめて書き出す。
「AIの処理を効率的に行うためには,演算を行う『演算器』がある場所とメモリの間をデータが行き来する時間をいかに短くして効率化するかが重要になります」と,産業技術総合研究所AIチップデザインオープンイノベーションラボラトリの内山邦男招聘研究員は話す。
AIの処理は,画像処理にく…