中部電力浜岡原発に設置された「AIゲート」。帽子や手袋、保護衣などの装備をAIがチェックする=同社提供

 AI(人工知能)が原発でも導入されつつある。現場では人手不足や高齢化が進み、業務の効率化や技能の伝承に期待がかかる。運転など安全上の重要な役割を担う例はないが、リスクを伴う施設で使うことについて倫理や説明責任の議論が始まっている。

米国立研究所、運転補助システム開発

 米アルゴンヌ国立研究所が昨年、AIで原発の運転を補助するシステムを開発したと発表した。原子炉などの状態のデータを学習し、リアルタイムのデータから異常を予測・検知して運転員に知らせるというものだ。

 日立製作所などは、原発の施設を仮想空間に再現して共有する「現場拡張メタバース」を開発した。

 作業員が身につけたセンサーなどから位置情報付きの画像や音声のデータを集め、AIが解析して必要な情報を取り出せる。2023年には原発の実寸大模型の移設作業で使い、遠隔地からリアルタイムで現場の状況を共有できたという。

 AIの活用は模索されているが、実際の原発での利用は限定的だ。

 中部電力は、浜岡原発(静岡県)の放射線管理区域の入り口に「AIゲート」を設置している。

 作業員の被曝(ひばく)を管…

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