最高裁判所=東京都千代田区

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性(当時51)を、女性の依頼に応じて殺害したなどとして、嘱託殺人などの罪に問われた元医師の山本直樹被告(48)の上告審で、最高裁第二小法廷(高須順一裁判長)は被告側の上告を棄却した。7日付の決定。懲役2年6カ月とした一審・京都地裁判決が確定する。

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 一審判決によると、山本被告は、知人の大久保愉一(よしかず)受刑者(47)=同罪などで実刑確定=と共謀し、2019年に女性が住む京都市内のマンションで、女性から殺害の依頼を受けて薬物を注入して急性薬物中毒で殺害するなどした。

 山本被告側は、実行役は大久保受刑者で、自身は殺害計画を知らなかったと無罪を主張した。しかし一審は、山本被告が現場の見張り役を担い、犯行の発覚防止に重要な役割を果たしたと指摘。「(女性の)親族らに秘密裏に殺害し、強い非難に値する」とした。二審・大阪高裁も支持した。

 第二小法廷は決定で、上告できる理由にあたる判例違反などがない、とだけ判断した。

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