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【動画】大阪府警が特殊詐欺の被害を防止するためコンビニ店員向けに寸劇を披露=武井風花撮影

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コンビニ店員らを前に大阪府警が特殊詐欺の事例を寸劇で紹介した=2025年5月22日午後2時22分、大阪市淀川区、武井風花撮影
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 深刻な特殊詐欺被害を食い止めるため、大阪府では8月から、高齢者が携帯電話で通話しながらATMを操作することなどを禁止する改正条例が施行される。大阪府警淀川署は22日、ATM操作をする機会が多いコンビニエンスストアの店員らを対象に、高齢者への声掛け訓練を行った。

 大阪市淀川区のコンビニであった訓練には店員ら約50人が参加。電話をしながらATM前にいる高齢者役の警察官に声をかけて、電話を切るよう促した。

 店員が「ATMで還付金は戻ってこないんです」と伝えても取り合わない高齢者役。「警察にも止めてくださいと言われている」と言うと、ようやくATMの操作をやめた。

 府警によると、コンビニで発生する特殊詐欺の被害は、「還付金を受け取れる」などと言われ、電話で指示を受けながらATM操作をしたりプリペイドカードを購入させられて番号を伝えたりするケースが多いという。

 そのため府の改正後の条例では、ATM前で65歳以上の高齢者の携帯電話での通話を禁止するほか、プリペイドカードの販売で一度の会計が5万円を超える場合は詐欺の恐れがないか、店員らが確認することなどを義務づける。対策を「義務」として定めた条例は全国初という。

 訓練の最後には府警が改めて条例の変更点を説明し、「8月から努力義務から、義務になる。ご協力をお願いします」などと呼びかけた。

 淀川署は、これまでコンビニに対し、高齢者へのこうした声かけをお願いしてきたが、客が聞く耳を持たなかったり、客ともめたりするケースも多いという。同署の担当者は「条例の内容が広まることで、声をかけやすくなる。店員以外の人も『あかんで』と声をかけられるようになれば」と期待する。

 2024年の府内の特殊詐欺の被害件数(速報値)は2658件、被害総額は約64億円でいずれも過去最多だった。今年は4月末までの被害総額が前年同期比で15億円多い29億円で、被害は拡大している。昨年の被害者の7割は65歳以上という。

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