前回の「オトナの保健室」では、ソーシャルワーカーの斉藤章佳さんがアダルト動画の暴力的な演出やその影響について語りました。「日本は男性の性欲に甘い」「有害なものは自ら退けていくべきだ」。そんな言葉を男性たちはどう受け止めたのでしょうか。
有害な暴力、線引き可能なのか
ポルノ雑誌、アダルトビデオ、そしてインターネット。アダルトコンテンツの流行を追ってきた40代後半の男性会社員は、加害意識は希薄なまま楽しんでいたと話す。
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性加害は許されざる行為であることは重々わかっています。でも、そうした犯罪を語る文脈で、男性が女性を性的対象とすること自体を悪とみなすかのような風潮に、男性として居心地の悪さを感じてきました。
しかし前回、斉藤章佳さんは性欲それ自体が悪なのではなく、加害的な欲求と結びついて初めて悪になると整理してくれて、納得感がありました。
- AVの暴力表現を許し続けるか 「性欲至上主義社会」で問われる責任
- 連載「オトナの保健室」
アダルト動画の及ぼす影響についても言及がありましたが、時代を経て、その性質は変わっていると感じます。かつてのAVが虚構を前提とした「プロレス」だったとしたら、いまのそれは虚実ないまぜの「リアリティーショー」に近いのではないでしょうか。
一昔前のアダルトビデオは、女優さんのインタビューを挟み、レイプシーンでも女優自らやや不自然に髪をかきあげて口に性器を含む様子をしっかり見せるなど、「これは演技ですよ」というわかりやすさがあったと記憶しています。
でも、時代の変遷とともに人気を博すようになったカテゴリーは「素人」。迫真の演技というより、誰かわからない、リアルそのものと思わせるものがネットに出回るようになりました。
ジャンルも多様です。さすがにこれはないだろうというニッチなキーワードで探しても大概見つかる。「こんなのが出回っているんだ。すごいな」と。私自身、抜く(射精する)ことを目的とするよりも好奇心を満たし、エンタメとして楽しむようになっています。
一例として、盗撮系のコンテ…