(30日、プロ野球 横浜DeNAベイスターズ2―1中日ドラゴンズ)

 春の甲子園王者が決まったその日、3年前の選抜で紫紺の旗をつかんだ20歳が今季初の先発マスクで躍動した。

 五回、横浜DeNAベイスターズの松尾汐恩(しおん)は低めの変化球をすくい上げて左翼席へ運ぶ。プロ初本塁打に「待ち望んでいたホームランを打てて本当にうれしい」と顔をほころばせた。

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 大阪桐蔭高3年時の選抜大会では準決勝と決勝で本塁打を放ち、優勝の立役者になった。ドラフト1位で入団し、1軍にデビューした昨季は日本シリーズでもマスクを被った。

 八回の守りでは1点を奪われ、なお1死二、三塁から伊勢大夢(ひろむ)にフォークを続けて要求する。「緊張で足がつりそうになっていた」が、ワンバウンドを恐れぬ強気の配球でピンチを切り抜けた。

 「前は自分が堂々としていなくて、投手に引っ張られていた。だいぶキャッチャーらしくなってきた」

 昨年ゴールデングラブとベストナインに輝いた26歳の山本祐大を超えなければ、正捕手は見えてこない。

 この試合も九回の守りから山本と交代し、勝利の瞬間をベンチで見守った。「与えられたチャンスは全部つかみ取る。(山本)祐大さんに負けてられない」と鼻息は荒い。

三浦監督「大きな財産に」

 三浦監督(D) 八回のピンチを脱した松尾のリードについて、「後ろにそらせられないところでフォークを要求して、ワンバンもしっかり止めていた。緊張感の中で守り切れたのは大きな財産」。

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