倉庫の一区画にオンラインクレーンゲームがずらり=2025年6月26日午後、埼玉県加須市、照井琢見撮影

 スマホで遠隔操作する、オンラインクレーンゲーム(オンクレ)が、静かに人気を広げている。何がそこまでひきつけるのか。

ひとりでに動いている?

 埼玉県北東部の加須市にある、倉庫の一角。約2500平方メートルの区画に立ち入ると、目の前にずらりとクレーンゲームが並んでいる。

 ウイーン、ウイーン、ゴトン……。

 音楽や効果音が始終鳴り響くゲームセンターとは違って、静寂の中で機械音が聞こえるだけ。ゲームを操作する人もおらず、ひとりでに動いているように見える。ちょっと不気味に感じる。

ひとりでに動きだすクレーンゲーム=2025年6月26日午後、埼玉県加須市、照井琢見撮影

 この倉庫内に設定してある約350台のクレーンゲームは、DMM.comが運営する「DMMオンクレ」で遊ぶことができる。

 サイトで会員登録し、現金をポイントに交換。料金は景品によって異なるが、1プレーあたり150円~220円。

 目当ての景品を選んでゲームを始めると、画面にはダミーの箱が入ったクレーンゲームが映る。矢印や「つかむ」のボタンをタップすると実際のアームが動き、制限時間内に落とせれば景品獲得。サイトで発送を依頼すると指定の住所に届く仕組みだ。

スマートフォンやパソコンなどで遠隔操作する=2025年6月26日午後、埼玉県加須市、照井琢見撮影

ハマる理由「技術を磨く余地」

 どんな人が遊んでいるのか。

 同社のユーザーの男女比はほぼ半々。20~40歳代が8割以上を占める。同社に紹介してもらった福岡市の自営業男性(42)は、「クレおじ」の名でXやYouTubeにオンクレの攻略法などをアップしている。

 他社のサービスもあわせると「月に5万円から10万円は使っているかもしれません」。自宅には景品の入った段ボールが山積みになっている。

 いわく、その魅力は「オンラインのくじ引きは運の要素が強いですが、オンクレは技術を磨く余地がある」。リアルなクレーンゲームを操作するから、「ウソのない感じもする」そうだ。

 お目当ては、好きなアニメのグッズ。だったら、通販で買う方が簡単では?

 「クレおじ」さんいわく、オンクレならではの楽しみがあるそうだ。「自分で『手に入れた』という感覚があるんです。うまくいけば200円、300円ぐらいで取れる、お得感もあります」

 プレーするのは、移動時間などのスキマ時間。就寝前の時間も、オンクレにあてているそうだ。

後発組は「推し活」に勝機

DMMオンクレは、2024年度の売り上げが前年度比226%。その好調を支えるのは「推し活」。人気YouTuber「すずしょうと」とのコラボを例にリポートします。

 風営法によって営業時間に制…

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